阿美の本棚

阿美の好きな書籍の言葉や、最近好きな「鬼滅の刃」に関するレビューや考察(ネタバレしています)を書いています。

アニメ「平家物語」11話『諸行無常』

年が明けて季節は冬から春へ。決戦は屋島の戦いから壇ノ浦へと向かう。追ってきたのは源氏の若き総大将・義経
激しいうず潮に源平の舟が入り乱れるなか、イルカの大群が押し寄せ、遂に風向きが変わる。
平氏の敗北と滅亡が垣間見えるなか、みなを勇気づけ闘う宗盛と知盛。三種の神器とともに帝の手を取る時子。
びわはそのすべてを目に焼き付けようとしていた。

 

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資盛様も戦いに参戦して兵を指揮しています



渦巻く波の壇ノ浦…

波が強く、源氏の兵たちも苦戦しております。

「海での戦いは我ら平家の方が長けておる。ひるむではないぞ」

「射て!」ついに始まりました。

 

梅の木に止まる鳥に対して「あの鳥はモズです。」

モズは獲物を枝にさす習性があるということになぞらえて

「今頃、平家の兵をおなじめにあわせておりましょうな」という政子にビビる頼朝。

 

花を見ながらお酒を嗜む法皇様。やはりこのお方の頭の中はあくまでも三種の神器しかないのかい?源氏の兵たちは慣れない舟での戦闘に苦戦しているようです。次々と源氏の舟に乗り移り攻撃を仕掛ける平家の兵たち。知盛の指揮のもと、資盛様も果敢に攻めております。

 

潮の流れに乗ったと、このまま攻め続けようと知盛様、宗盛様は戦況をどうかと兵に聞いております、そしてご自身も弓で参戦。女性たちと安徳帝は少し離れた場所で待機。帝は戦を見たいと言っておりますが危ないからダメだと手で目をふさいでおります。

「もし、弓矢が当たっても泣かぬのなら見るがよい。痛いのはイヤであろ?」

びわらしい言葉だね。

 

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イルカの登場と天候の変わり目に形勢が…

 

苦戦を強いられる源氏軍。いったん退くことを進められるのだが弁慶は兵力では自分たちの方が上だと時間が経てば平家軍も疲れてくるだろうからそれを辛抱強く待てと。

 

しかし、天候が突然悪くなってきました。そこにイルカの大軍が泳いでやってきました。そこになんだかわからないけど陰陽師が変なことを言ったみたいです。

 

徳子の髪を編むびわ。「なんだか懐かしいわね」と徳子。びわはこれからの事全部わかっているんだもんね。だからこそ、徳子の髪を編んでいるんだろうね。

天候はさらに悪くなって風がますます強くなってきたようです。

義経は源氏の白旗が飛んでいくことに気が行って、知盛様は風向きが変わったと思う。

宗盛様はイルカの行動に注視しています。「来るな!」と。やばい!

 

「風は我らの味方だ!」と俄然張り切りだす義経と源氏軍。

「舟の漕ぎ手を矢で射よ」

 

いやいや、だからそれは一番してはいけないことだって。

源氏の兵たちは平家の舟の漕ぎ手を矢で攻撃し始める。

源氏の反撃が始まりました。と言っても卑怯な手だけどね。さすが義経

 

そして、源氏サイドにさらに応援の舟がやってきました。

というか、様子を見て源氏が優位だと思ってそちら側につく人たちなんだけどね。

 

宗盛様は帝たちの舟に移動。びわも心配そうです。

戦況はまだ詳しくわからない。

宗盛様に対して徳子様

「兄上、もし負けとあらば帝は…」

後鳥羽天皇の正式な譲位を行うため、京へ連れていかれるであろうな。(宗盛)」

「では、お命は…(徳子)」

「それでは、ここまで帝と三種の神器をお守りしてきた意味がないではないか。(時子)」

「母上」

「今さら、どちらも渡すなど…何のためにここまで流れ流れて、ここまで耐えてきたのじゃ。(時子)」

「ですからまだ分かりませぬ。(宗盛)」

「この先を生きようとも、今以上に惨めな暮らしが待っておる。ならば…(時子)位を奪われた帝がどのような扱いを受けるか、そなたとて、捕まれば、源氏の誰かに無理やり嫁がされるやもしれぬ。それでも、帝を守れると?(時子)」

 

そうだよね、相手は源氏だもんね。

法皇様は三種の神器が戻ればそれでいいとか言ってるけど、源氏側はそんな風に思ってないよね。特に義経は捕まえたら首を斬りかねないだろうしね。

 

帝たちは唐舟には乗ってないと弁慶が義経に報告。平家から源氏に寝返るものも出てきております。そして小さな船を攻めろと義経。知盛様も海から何とか舟に戻られたようです。(海に落ちたときも、その後も一緒に堕ちた兵を助けるところも知盛様、否、平家らしい)そして源氏軍が小さな船を狙いだしたと報告される。

 

知盛様達も帝のいる舟に移動します。

なんとか合流できた知盛様。戦況を聞く時子様にどういえばいいのか知盛様…

「(笑いながら)そなたらは今に珍しい東男たちをご覧になれますぞ。ハハハ。」

不安に思う女性陣に対しての精一杯のジョークを言う知盛様なのです。

眠っていた帝が目を覚ましました。

「わたくしは敵の手にかからぬ。そして帝のもとへ歩み寄り手を差し出す時子様。

「さぁ、参りましょう。」

「我をどこへ連れてゆくのだ?」

「極楽浄土という美しい所へ(びわの手が伸びるが、止めることが出来ない)神器をここへ。(時子)」

「我らが今少し、時をお稼ぎいたしましょう。(知盛)」

 

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帝が怖がらないように語る時子様なのでした

 

そして時子様は剣と安徳天皇と一緒に船の先頭に向かいます。それを後ろで見守る徳子様も懐に石を詰めています。御座舟を見つける源氏の兵の声に資盛様。既に舟が囲まれています。びわは琵琶を弾いております。

 

安徳天皇を抱き上げ「波の下にも都があります」と語り掛け海に身を投げました。

そして次々と女御たちも海に飛び込んでいきます。徳子様もいよいよという時思わずびわが走り出す。

 

「徳子!」

海に飛び込んだ徳子。海に沈んでいく徳子、びわも源氏の舟に飛び乗り、源氏の兵たちも必死に徳子を救出しようとするが私にふれるでないと言う徳子に、髪を引っ張り上げようとする源氏の兵に対してびわが手を差し伸べる「徳子、まだじゃ。徳子のこの先はまだ続いておる」と言うびわに「イヤ、私も行かせて」

「この目には先が見える。徳子は皆のためにこの先を生きていく。」必死に舟に上げようとするびわ。そして

 

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不本意であっても徳子様は生きねばならない

 

「この目は(亡者の目)重盛からもろうた目。皆が見えるぞ徳子。皆が…帝は幼き手を合わせておるぞ。」そして引き上げられる徳子。びわに抱き着き泣くしかない徳子。

 

知盛様は帝も安否を気にしておりますが、従者からすでに海に沈んだことを聞く。

教経様は源氏の兵を捕まえ一緒に海に沈んでいきました。

「見るべきものはすべて見た。」

目を閉じる知盛の目のアップから目を閉じているびわの目が開く様子の切り替わり、目を開いたびわの目の色が変わって視覚が失われいく描写。

 

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源氏に首を取られないように木製の錨を体に巻き付けて海に入る知盛様

 

知盛様は錨を体に縛り付け

「平家の名を惜しむ者は我に続け」と言い海に沈んでいきました。

 

資盛様も手を合わせ念仏を唱え海に沈んでいきました。宗盛様も入水しましたが…

 

牛車の音、乗っているのは法皇様。向かった先には尼になった徳子様のところ。

「帝の妃であったそなたが、このようなわびしい住まいに、さぞ不自由な思いをしてるのではないか。」ってどの口が言っているのでしょう?

 

「そのように思うこともございます。ですが、来世の往生のためにはこれも喜ばしいことなのだと、今ではそう思うております。平清盛の娘として生まれ、帝の妃となり、その御子を産み、飢えることも凍えることも知らず、美しく移りゆく季節を楽しみ、その栄華の中に身を置いておりましたことはまるで、天上界の幸福であるかのように思われました。都を落ち、一門は戦に明け暮れ、海の上では水を飲むことすらできず、生者必滅、我が子の命が消えていくのさえ、この目で…人の世にある苦しみは、全て自分のこととして思い知らされました。ひとつとして、分からぬ苦しみはございませぬ。」

 

「んん…私は神器が戻れば、そなたら一門の命までは…」

まだ言ってるんか~い!

 

法皇様。海の底には竜宮城なるものがあるようにございますよ。そのような夢を見ることがございました。」

尼が何か持ってきました。

しば漬けとお水?「お口に合いますかどうか…」

「これはうまい。」

「ようございました」

 

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法皇様は徳子様の姿をどう思われたことでしょう

 

しば漬けは徳子様の為に地元の人たちが作って献上した物だったりします。

法皇様も切ない気持ちになっておられる?

 

「どうすれば、苦しみを超えることが出来のかのう。」

「祈りを。わたくしにもまだ忘れられぬ思いがございます。ですので、ただ…ただこうして皆を愛する者を思い、そのご冥福を祈っているのでございます。ただ、それが、私にできること。そう教えてくれた、その人もまた平家のために祈り、人々に語り継いでくれております。その中で我らの一門は生き続けましょう。その始まりは…」

 

法皇様はお堂に安置されている阿弥陀如来像を見る。その指には極楽浄土への導きをもとめる思いから、5色の糸を結び付けられているのを見ます。徳子の思い、平家の思い、いろんなことを法皇様なりに感じるものがあったんだと思います。思わず手を合わせ祈ります。

 

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熊谷直実も敦盛様の事を思いながら生きています

 

そして帰路につく途中、「そのはじまりは…」徳子の言葉を思い出し、法皇様がつぶやく「祇園精舎の鐘の声…」

敦盛様と戦った熊谷直実もまた僧となり「祇園精舎の鐘の声」とつぶやきながらきっと敦盛様の供養の日々なのでしょう。

 

静御前、浅葱の方(びわの母)資盛様は海に沈んだと思われていましたがどこかで生き延びているという方を描かれています(諸説あり)。最後はびわが「祇園精舎の鐘の声…」と言っている途中から重盛様の声が重なり、重盛様の声だけになる。

 

観音菩薩につけた紐を握りしめ徳子様は平家の家族の元へと向かったのですね。

あの揚羽蝶になって飛んで行ったのですね。

 

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苦しみの後、平家一門は海の底の都で楽しかった時の姿で生き続けています

 

きっとみんなの待つ、海の底の都に。

 

宗盛様の最期は言及しなかったのですね。

宗盛様は元々泳ぎが得意であられて、海に飛び込んだけれど、泳げることと、なにより息子の清宗様のことが心配で結局、沈むことが出来ず、清宗様共々助かってしまいました。

 

平家物語などでも散々ひどいことを書かれております。死ぬのが怖かっただの、頼朝に殺さないでくれとかビービー言っていたとか。でもそれが必ずしも事実ではありません。あくまでも宗盛様は息子たちのことが心配でした。自分がどんなことを言われようとも息子を助けてもらえたらと。そして鎌倉に送られた時も、最初は周囲の人たちはあまりよく思っていなかったみたいですけど、徐々に宗盛様の人となりを知って少なからず周囲の人との心温まる交流などもあったようです。

 

しかし、義経と頼朝の間のごたごたで、義経は頼朝との接見することも叶わず、宗盛様達も義経と京へ戻ることに。そしてその途中、滋賀の野洲で斬首となりました。斬首の直前まで、息子清宗様の事を案じておりました。

 

びわも、知盛様の言葉ではないけれど「見るべきものは見た」のでしょうね。

だから平家の最期を見届け、もう何も見なくても自分はこれからの人生、平家の人たちのことを思い、祈りながら語っていくだけだということで目が見えなくなったのかな。

 

この作品をみて、平家の事を少しでも単に驕り高い人たちではなかったと思ってもらえると嬉しいです。平家がしてきたことが実は今の日本の礎になったことが本当に多く、ここでは語れないほどだし、基本的に清盛様も心優しい方だった。

 

法皇様は清盛様と色々ありましたが、本当はすごく清盛様の事が好きだったと思います。法皇様が生前書いた現在過去帳には清盛様の名前や重盛様、敦盛父子(敦盛様とお父上の経盛様)義経などの名前も書かれておりました(残念ながら頼朝に関してはあまり好きではなかったようで名前はありませんでした)この過去帳は時々、見る機会があります。でも一番周囲を振り回したのも彼でしたからね。

 

本当はもっともっと取り上げてほしい平家の人たちがいるし、一の谷の戦いそしてそれ以降、壇ノ浦の戦い含めいろんな平家の人たちを取り上げてほしかった…でも、重盛そして彼の子供たちを中心に描かれたということは画期的だったと思います。

 

イチ海の底の民としては本当に感謝です。

読んでくださったみなさまありがとうございます。

もし今後、京都や神戸などに行く事があればぜひ、平家の事を思い出して、ゆかりの場所などを探して巡行してくれると嬉しいですし、より平家物語を楽しめると思います。

 

もし、平家に興味を持ってもっと色々知りたいと思ったならば是非レンタルやNHKオンデマンド大河ドラマ平清盛」を観ていただきたいです。清盛様の人生が色濃く知ることが出来ます。そのうえで再度この作品をみるとまた違った思いを感じられるかもしれません。