阿美の本棚

阿美の好きな書籍の言葉や、最近好きな「鬼滅の刃」に関するレビューや考察(ネタバレしています)を書いています。

五瓣の椿


「人間が悲しいのは、あとになって自分がばかなことをしたと気づくことだ、けものはそんなことは気づきゃあしないがね」


 

悪い人間が一人いると、その「悪」はつぎつぎにひろがって人を毒す。いちど悪に毒された者は、容易なことではその毒からのがれ出ることができない。
 


幸福でたのしそうで、いかにも満ち足りたようみにえていても、裏へまわると不幸で、貧しくて、泣くにも泣けないようなおもいをしている。世間とは、本当はそういうものなのかもしれない。
ー中略ー
心では救いを求めて泣き叫びたいようなおもいをしながら、それを隠してまじめに世渡りをしているひとたち。そういう人たちの汗や涙の上で、自分だけの欲やたのしみに溺れているということは、人殺しをするよりもはるかに赦しがたい悪事だ。