阿美の本棚

阿美の好きな書籍の言葉や、最近好きな「鬼滅の刃」に関するレビューや考察(ネタバレしています)を書いています。

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

夜半歌聲~逢いたくて、逢えなくて

「ユンエン、僕らは時代に翻弄されている。僕らが信じているのは人道主義、追い求めているものは博愛、民主、自由なんだ!僕らが心のままに恋愛をして結婚をする、これは天地の道理にかなっていることなんだ。ふざけて言っているのではない、僕は真面目だ。…

メイド・イン・ホンコン(香港製造)

(チャウ) おれの名前は中秋(チョンチャウ)、学校は中退した。原因の半分は成績が悪かったから。あとの半分は教育制度が悪いからだ。これはおれのせいじゃない。そのおかげで進学できないやつが大勢いる。おれたちみたいな落ちこぼれは、まともな職に就く…

ダークエンジェル~最終戦争~

(第三章 死を待つときより) 良しにつけ悪しきにつけ、ある種の性質が生まれつき人に備わるものかどうかは、議論が分かれるところだ。マックスは、ジョシュアにはつねにやさしい心を持っていると言いつづけてきた。しかし、マックス自身が抱く希望は、その…

ダークエンジェル~スキン・ゲーム~

(第二章 ターミナル・シティより) 「いい。わたしには、あなたたちを引きとめることは出来ない。でも、私はこれまで逃げ、隠れ、怯え続けてきた」さらに向きを変えて、言いつのった。「こんなふうに生きるのはもういやなの。みんなだって、隠れて生きるのは…

アルジャーノンに花束を

「知能だけではなんの意味もないことをぼくは学んだ。あんたがたの大学では、知能や教育や知識が、偉大な偶像になっている。でもぼくは知ったんです。あんたがたが見逃しているものを。人間的な愛情の裏打ちの無い知能や教育なんてなんの値打ちもないってこ…

愛をください(辻仁成作品)

本当の気持ちを隠してるカメレオンより 李理香から基次郎へ 人を信じるのが苦手でしょう、という指摘は誰にでも簡単に見抜けることことなのだろう思うのですが、あなたはその先にこう付け加えていらっしゃいました。でも李理香さんは、人間を信じたくてしか…

ちいさこべ

(花筵より) 「自分は良人(おっと)を愛した、良人は自分を愛してくれた」お市はこう呟いた、「あのとき良人は自分の諄(くど)い質問に対して、つきつめていえば夫婦が一心同躰だということも本当ではない、人間どこまでいっても孤(ひと)りなんだと云った…

さぶ

――おれはこの人たちになにをしてやった覚えもない、と栄二は繰返し思った。しかもこの人たちはおれのために心配し、こんなにいたわったり慰めたりしてくれる、それも気まぐれやお義理なんかじゃない、まるでしんみのきょうだい同様じゃないか。栄二は初めそ…

五瓣の椿

「人間が悲しいのは、あとになって自分がばかなことをしたと気づくことだ、けものはそんなことは気づきゃあしないがね」 悪い人間が一人いると、その「悪」はつぎつぎにひろがって人を毒す。いちど悪に毒された者は、容易なことではその毒からのがれ出ることが…

青べか物語

(青べか馴らしより) わたしの心の中にあたたかな愛情がわきあがった。そんなにもぶざまな格好の、愚かしげなべか舟はほかにはない。そのために嘲笑され、憎まれているのだが、それはそんなふうに造った者が悪いので、彼女自身には責任のないことである。彼…

赤ひげ診療譚

(役人にかよい治療停止の命令が出たことに対して赤ひげが保本登に向って言う言葉。)「いや、なにも云うな、お前がどう思おうと構わぬ、誰がなんと思おうと構わない、たとえこれがばかげた愚痴であろうとも、おれは生きている限り喚きたててやる、お、―」私…

柳橋物語/むかしも今も

*** 柳橋物語より *** 「人間は調子のいいときは、自分のことしか考えないものだ。自分に不運がまわってきて、人にも世間にも捨てられ、その日その日の苦労をするようになると、はじめて他人のことも考え、見るもの聞くものが身にしみるようになる」 「人間は正…